こんにちは、浅草橋駅前鍼灸接骨院です!
今回は肘内障について教えていきたいと思います!
肘内障とは
肘内障(ちゅうないしょう)は、主に幼児に多くみられる肘の脱臼の一種で、正式には「橈骨頭亜脱臼(とうこつとうあだっきゅう)」と呼ばれます。1歳から5歳くらいの幼児に多発し、特に2〜4歳が好発年齢です。成長過程の幼児の肘関節はまだ構造的に未発達で、靱帯が柔らかく骨の形状も大人とは異なるため、少しの外力でも亜脱臼を起こしやすいのが特徴です。
原因と発生メカニズム
肘内障は、手を強く引っ張られたときに多く発生します。たとえば、親が子どもと手をつないで歩いているときに転びそうになった子どもの手をとっさに引っ張ったり、遊んでいて腕を強く引かれたりすることで、橈骨頭が輪状靱帯から部分的に外れる形で亜脱臼が生じます。幼児の輪状靱帯はまだ発達が未熟で緩いため、橈骨頭がずれやすいのです。
症状
発症すると、子どもは突然泣き出し、痛みを訴えます。特徴的なのは、痛みで腕を動かさなくなることです。肘を曲げたり伸ばしたりできず、患側の腕をだらんと下げ、反対の手で押さえるような仕草をとります(保護肢位)。肩や手首を触っても痛がらず、肘の周囲を触ると強く嫌がることが多いです。腫れや変形は基本的にみられないため、骨折との鑑別が重要です。
診断
診断は問診と視診・触診が基本です。どのような状況で痛がり始めたか、手を強く引っ張ったかどうかが大きな手がかりとなります。レントゲン検査は基本的に必要ありませんが、骨折が疑われる場合には撮影します。
治療
治療は徒手整復が基本で、通常は整復操作をすればすぐに治癒します。代表的な整復法は「回外屈曲法」と「回内法」です。
- 回外屈曲法:患児の肘を90度に屈曲し、前腕を回外させながら肘をさらに屈曲する方法です。
- 回内法:前腕を回内させながら肘を屈曲します。近年は回内法の方が成功率が高いともいわれています。
整復が成功すると「コリッ」という感触や音があり、直後から子どもは痛みを訴えなくなり、しばらくすると普通に腕を使い始めます。
予後と再発
一度整復されれば、後遺症はほとんどありません。しかし、靱帯がまだ未熟なため、同じような外力で繰り返し発症することがあります。繰り返すうちに成長とともに靱帯が発達し、自然に再発しにくくなります。
予防
最大の予防法は、幼児の腕を無理に引っ張らないことです。転びそうになったときに反射的に手を強く引かないように注意が必要です。手をつなぐ代わりに、腰のあたりを支えたり、手首を持つのではなく肘や肩を支えるようにすることで、発症リスクを下げられます。
まとめ
肘内障は幼児に多い、日常的に起こりやすい外傷です。適切に整復すればすぐに回復するため、保護者の不安を和らげつつ、再発防止のポイントを伝えることが大切です。大切なことは「無理に腕を引っ張らない」こと。これを知っておくことで、大切な子どものケガを未然に防ぐことができます。